(03-24)
悪霊降臨!恐怖のオカルト世界!
(03-08)
阿鼻叫喚!スプラッター映画の父ハーシェル・ゴードン・ルイス
(03-03)
アンチアカデミー スペシャル対談 第7弾
今週から始まったアンチアカデミーですが、みなさまお楽しみ頂いてますでしょうか?
本日はFOXムービーの第3週目に放送する“阿鼻叫喚!スプラッター映画の父ハーシェル・ゴードン・ルイス”についてご紹介させて頂きます。
日本では80年代後半のレンタル・ビデオ・ブームの際にその作品が続々とビデオ化され、折からのスプラッター映画ブームとの相乗効果でホラー映画ファンの間で一躍知名度を高めた映画監督ハーシェル・ゴードン・ルイス。腹を割いて内臓を抉り出したり、腕を斧で切断したり、女性の顔面をグシャグシャに破壊したりと、まさにやりたい放題の血みどろプレイをスクリーンの上で繰り広げた人物です。それも、スプラッター映画なる言葉が生まれる遥か以前の1960年代に。当時の映画界ではヒッチコックの『サイコ』(’60)でのシャワー・ルームにおけるメッタ刺しシーンですら十分にショッキングだったわけですから、いかに彼の作品が時代を先駆けていたのかということが分りますよね。
そんなハーシェル・ゴードン・ルイスは、実は元大学講師というキャリアの持ち主。そういえば、あのウェス・クレイヴン監督も元高校教師ですよね。ただ、クレイヴン監督がホラー映画というジャンルをこよなく愛しているのに対し、H・G・ルイス監督は映画をあくまでもビジネスとして割り切っていたようです。もともと教師からローカルTV局のディレクターに転身した彼は、友人と共に制作会社を設立してコマーシャル映画や産業映画を手掛けるようになります。やがて、劇映画の製作に乗り出すようになった彼は、当時の映画界では絶対にタブーだったセックス描写を盛り込んだソフト・ポルノで荒稼ぎするようになります。
ハリウッドでは1930年代半ばからカトリック教会の影響を受けた映画倫理規定(宗教による実質的な言論規制)が敷かれており、キリスト教的・アメリカ的価値観にそぐわないような描写は禁じられていたわけです。ゆえに、ハリウッドとは無関係のインディペンデント系映画会社の人々は、早い時期から映画におけるセックスや暴力の需要に着目しており、そこからエクスプロイテーション映画の世界が形成されていったんですね。H・G・ルイスもその一人だったわけです。
やがて、一連のポルノで成功を収めた彼は、次なるマーケットとしてホラー映画に目を付けます。その記念すべき作品が『血の祝祭日』(’63)だったわけですね。その後、『マニアック2000』(’64)、『カラー・ミー・ブラッド・レッド』(’65)、『悪魔のかつら屋』(’66)、『悦楽集団』(’68)、『血の魔術師』(’70)、『ゴア・ゴア・ガールズ』(’72)と凄惨なスプラッター映画を世に送り出して行ったH・G・ルイス。
ただ、60年代末には映画倫理規定の影響力が失われたことからハリウッドでも表現の規制がなくなり、メジャー映画にもセックスやバイオレンスが溢れるようになります。そうした時代の変化もあって、70年代半ばには映画業界から引退し、広告業の傍らビジネスのマニュアル本などを多数執筆していたH・G・ルイス。ところが、2002年に突如として『ブラッド・フィースト 悪魔の祝祭日2』(’02)で映画界にカムバックを果たします。さらに、2005年には『マニアック2000』がイーライ・ロスの製作で『2001人の狂宴』(’05)としてリメイクされ、2006年には『血の魔術師』がキップ・パルデュー主演でリメイクされました。
なお、今回放送されるのは3本。まずは美女が頭の皮を剥されたり、目玉を潰されたりして次々殺されていくという史上初のスプラッター映画『血の祝祭日』。ジョン・ウォーターズ監督の『シリアル・ママ』で、子供たちがウェ〜って言いながら見てたビデオがコイツです。そして、南北戦争で全滅した村が甦り、偶然訪れた旅人たちを次々と血祭りにあげていくのが『マニアック2000』。お祭り気分で楽しそうに人殺ししていく陽気な人々が怖いですね〜。で、最後となるのが美しいゴー・ゴー・ダンサーたちが顔を切り裂かれたり、お尻の肉をミンチにされたり、乳房を切り取られたりする『ゴア・ゴア・ガールズ』。これはH・G・ルイス作品の中でも特に凄まじい残酷描写で知られた作品です。
というわけで、ホラー映画の歴史を語る上では絶対に欠かすことのできない鬼才ハーシェル・ゴードン・ルイス。まだ未見の方は是非、この機会に!
なかざわ ひでゆき

遠藤憲一(俳優)
深作健太(監督)
伊藤さとり(映画パーソナリティ)
なかざわ ひでゆき(映画/ポップ・ミュージック研究執筆家)