(03-24)
悪霊降臨!恐怖のオカルト世界!
(03-08)
阿鼻叫喚!スプラッター映画の父ハーシェル・ゴードン・ルイス
(03-03)
アンチアカデミー スペシャル対談 第7弾
おかげさまで、いよいよアンチアカデミーも今週でラストとなりました。
本日はFOXムービーの“悪魔降臨!恐怖のオカルト世界!”をご紹介させていただきます。
70年代のオカルト映画ブームの火付け役は『エクソシスト』(’73)ですが、その原点は『ローズマリーの赤ちゃん』(’68)と言えるでしょう。もちろん、それ以前からオカルト映画というジャンルは漠然と存在したわけですが、映画界におけるひとつの流れを作り出したのは『ローズマリーの赤ちゃん』が最初だったわけです。同じ年には、あのハマー・フィルムも『悪魔の花嫁』(’68)という本格的なオカルト映画を製作し、悪魔崇拝を真正面から取り上げています。
この辺りのオカルト映画のルーツや歴史を紐解いていくとスペースがなくなってしまうので割愛させて頂きますが、とにもかくにも『エクソシスト』とそれに続く『オーメン』(’76)の大成功で70年代のオカルト映画ブームは決定的なものになったわけです。その背景には、出版界に巻き起こった超自然現象本ブームがあったわけですが、その他にも特撮や特殊メイクなどの技術の向上でリアルな恐怖描写が可能になったことや、アメリカン・ニュー・シネマのおかげでアメリカ映画に表現のタブーがなくなったことなども挙げられるでしょう。また、宗教が身近に存在するアメリカ人にとって、日常生活の中に潜むオカルティズムというのは我々日本人が感じる以上にリアルだったわけです。
その“日常性”と“リアリズム”を売りにして大ヒットしたのが『悪魔の棲む家』(’79)。ニューヨークのロングアイランドで実際に起きた悪霊事件を描いた作品です。ベストセラーとなった原作ノンフィクションの信憑性については様々な論議がなされましたが、ごく平凡な一家の移り住んだ家が呪われていたというストーリーが人々の好奇心をかき立てて大ヒットを記録しました。当時のオカルト映画の多くが派手な特殊効果や残酷描写を売りにしていたのに対し、ドキュメンタリー・タッチのリアリズムを貫いていたのも異色だったと言えるでしょう。日常の中で起きる不可解な現象の積み重ねが、やがて主人公一家を底知れぬ恐怖へと追い詰めていくわけです。その辺りは、『暴力脱獄』(’67)や『マシンガン・パニック』(’73)といった硬派な男性映画で鳴らしたスチュアート・ローゼンバーグ監督の真骨頂と言えるかもしれません。
この『悪魔の棲む家』に代表されるような“呪われた家”というのはオカルト映画の定番で、『ヘルハウス』(’74)や『シャイニング』(’80)といった作品が有名ですね。中でも、異色中の異色作と呼べるのが今回放送される『家』(’76)と言えるでしょう。これは、屋敷そのものが意思を持った悪魔的存在で、住んでいる人間に取り憑いて行くというもの。呪いや祟りといった原因となるものが全く分らないだけに、何とも気味の悪い恐怖感を醸し出しています。また、その恐怖体験をする主人公一家がオリバー・リードにカレン・ブラック、ベティ・デイビスという強面揃いというのも、違った意味で怖かったですね(笑)。
そして、この“呪われた家”というコンセプトを80年代風SFX大作として描いたのが『ポルターガイスト』シリーズ。このシリーズは出演者が撮影終了後に次々と怪死してしまった事でも知られていますが、主人公キャロル・アン役を演じたヘザー・オルークが若干12歳で亡くなってしまったのはショッキングでした。その遺作となったのが『ポルターガイスト3/少女の霊に捧ぐ・・・』(’88)。彼女はクローン病という原因不明の病気にかかっており、この作品の撮影も治療と並行しながら行っていたとのこと。確かに全編を通じてどことなく顔色が悪く、それが何ともいえない違和感というか、妙な雰囲気を醸し出しているんですよね。監督・脚本・製作総指揮を務めたゲイリー・シャーマンは異色のゾンビ映画『ソンゲリア』(’81)を手掛けた人ですが、彼独特の陰鬱なムードも前作までには無かったものだと思います。
なかざわ ひでゆき

遠藤憲一(俳優)
深作健太(監督)
伊藤さとり(映画パーソナリティ)
なかざわ ひでゆき(映画/ポップ・ミュージック研究執筆家)